地域志向教育研究経費の概要(平成26年度概要)

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高梁地域の保健医療福祉施設入院・入所者への地域で学ぶ学生の専門的マンパワー活用に関する研究 高梁地域の保健医療福祉施設入院・入所者への地域で学ぶ学生の専門的マンパワー活用に関する研究
-学生出前足湯ボランティアをモデルとして-
 入院や施設入所により今までの生活習慣の維持が困難になることがあります。看護協会高梁支部看護研究発表会で「お風呂に毎日入れない」ことが入院患者の一番ストレスであると報告されています。入浴できない対象者に対する清潔保持援助として清拭を行いますが、湯船につからないため入浴感は得られません。入浴感を得ることが可能な援助として足浴があり、一般的には足湯として人気があります。足浴の効果は血液循環改善、リラックゼーションや疼痛緩和など多くの報告がされています。 本学看護学生は、2年次までに足浴を含む様々な援助技術を学内演習で学生を対象者として学びます。そこで、平成25度、高梁地域の保健医療福祉施設入院・入所者の入院・入所ストレス緩和の一助としての学生出前足湯ボランティアを4名の学生で実施しました。本年度は、その結果を詳細に分析検討し、学生ボランティア参加数を増やし、高梁地域の保健医療福祉施設入院・入所者の入院・入所ストレス緩和の一助としての定着を目指します。 以上のことから、本研究の目的は、高梁地域において学ぶ学生たちが、学んだ専門性をもとにした地域へのマンパワーのひとつとなるよう、また生きた学習ができるシステム作り、および授業の一環として取り入れることへの示唆を得ることです。

取組代表者 保健医療福祉学部看護学科 准教授 掛谷 益子
中山間地域の高齢者と子どもの暮らしをまもる住民相互の支援組織のシステム開発 中山間地域の高齢者と子どもの暮らしをまもる住民相互の支援組織のシステム開発
 高齢化率がすでに35.6%(平成24年)に達している高梁市をモデルに、老人クラブに所属する高齢者と学童保育を利用する子どもとの絆を深める交流を通じて、高齢者には新しい活躍の場と社会への参画の場を、子どもには高齢者理解の機会の創出の場を作ろうと取り組みを始めています。  昨年度は高齢者、子どもおよび保護者に対しアンケート調査を行いました。その結果、高齢者は半数以上の人が子どもと交流を持つことを希望しており、一緒に遊んだり、昔の暮らしや遊びを伝えるといった伝承活動ができると考えていました。また、8割以上の子どもたちが高齢者が学童保育に来たり、一緒に遊んだりすることを嬉しいと思うと回答がありました。 加えて学童保育を利用する子どもの保護者には高齢者が学童保育に関わることにより、年長者を敬う態度が身につくことや昔の暮らしや遊びについて教えてもらえるという期待がありました。 今後はそれぞれの希望を考慮しながら、高齢者と学童保育を利用する子どもがうまく関わりを持てる仕組みを考えることで、より安心して地域で、高齢者の支援を受けながら、子育てのできる環境を創出していきたいと考えています。

取組代表者 保健医療福祉学部看護学科 助教 木村 麻紀
高梁市における未就園児の親子と保育士・幼稚園教諭を目指す学生との交流による子育て支援活動の試み高梁市における未就園児の親子と保育士・幼稚園教諭を目指す学生との交流による子育て支援活動の試み
 高梁市子ども課・教育委員会の資料「高梁市における就学前児童の居場所」(平成21年)によると、3歳未満児の74パーセントが家庭で子育てを行っています。子どもたちはまだ幼稚園や保育園に通っていないため、親子はごく限られた人間関係の中で生活し、子育ての不安や負担を募らせていることも懸念されます。こうした社会から孤立しがちな未就園児を育てている家庭を支援するために「子育て支援センター」が創設され、高梁市でも平成22年、大学内に設置し、年々活発な活動をおこなっています。しかしまだ1箇所だけであり、どの地域においても「ベビーカーで通える身近な存在」(「子ども・子育てビジョン」)といえるほど整備はされていません。 こうした現状を少しでも改善するために、本学子ども発達教育学科の学生と教員が高梁市の様々な地域に出向いて行き、未就園児親子との交流を図るという、アウトリーチ型の子育て支援活動を展開することが本研究の目的です。

取組代表者
心理学部 子ども発達学科 准教授 中野 明子
心理学部 子ども発達学科 講師 藤井 伊津子
心理学部 子ども発達学科 助教 雲津 英子
意図的・非意図的に誘導された誤った知識に基づく消費行動の問題点について 2意図的・非意図的に誘導された誤った知識に基づく消費行動の問題点について2
 消費者を裏切る商品が問題となる中、ニュースになっているのはその一部に過ぎず、専門家から見れば、必要のないと思われる製品が巷に溢れています。そこで、専門家の教員たちが、広く認知されていない内容を取り上げて情報の偏りを是正し、よりよい消費生活を学生や市民に啓発し、提供していくのが目的です。現在どの程度の人が誤解しているのか、またそのためにどういった活動をしていけば有効に情報が伝わるのかを同時に研究していくことも目的としています。 地(知)の拠点事業の骨子である、全学的に地域を志向した教育、研究、そして地域貢献を勧める点と合致した活動であるため、この活動はとても重要で必要な教育、研究と考えています。

取組代表者 アニメーション文化学部 アニメーション文化学科 准教授 平見 勇雄
児童・生徒の保護者および社会人を対象とする情報リテラシー地域社会教育の実行可能性調査とその実践の試み児童・生徒の保護者および社会人を対象とする情報リテラシー地域社会教育の実行可能性調査とその実践の試み
 児童・生徒の情報通信技術(ICT)利用については、スマートフォン(スマホ)やソーシャルネットワークサービス(SNS)のトラブルに巻き込まれたり、「ネット依存症」を起こしたりするなどの事例があると、社会的に強く懸念されています。海外の情報倫理学者によれば、単なる禁止や保護者・教師による監視ではなく、むしろスマホやSNS活用に関して保護者・教師と児童・生徒がざっくばらんに対話することで、児童・生徒の自律的な活用が促進され、情報社会をよりよく生きることができるようになるという学説があります。そもそも大人のICTトラブルも少なくありません。 そこで、この研究では、保護者・教師のスマホやSNSなどに関する知識を含む情報リテラシーを高め、地域社会の情報リテラシーを向上させるとともに、保護者・教師と児童・生徒との対話を促進することで、児童・生徒がトラブルに巻き込まれるリスクを低減する一助となることを目的とします。

取組代表者 アニメーション文化学部 アニメーション文化学科 准教授 大谷 卓志
地域特産シイタケの機能性成分認証による販促援助地域特産シイタケの機能性成分認証による販促援助
 本教育研究の目的は、南あわじと高梁の社会的弱者及び高齢者が生産しているシイタケの販促を援助することで、社会的弱者及び高齢者を「だれもが役位割のあるいきいきとした地域」に活性化させることである。
南あわじでは就労継続支援A型事業所森の木ファームが社会的弱者を支援してシイタケ生産を試みている。高梁市では高齢者が細々とシイタケ生産を行っている。しかし、いずれの生産も他都道府県と比べて多くはなく、関西では菌床栽培で有名な徳島のシイタケが好まれることもあって、平成21年以降の生産量は減少の一途である。
ところで、シイタケにはレンチナンというβ-グルカンが含まれている。レンチナンにはクローン病や潰瘍性大腸炎に対する顕著な抗炎症性効果があることが明らかにされている。また、生鮮食品の機能性表示が今年6月に可能になる可能性が高い。少なくとも表示の方向性が消費者庁から提示される。
そこで、他府県のシイタケに先んじて、南あわじと高梁のシイタケのレンチナン含量を表示すれば、販促となり、生産量が増加し、南あわじの社会的弱者が励んで就労することができる。また、高梁で生産が上がれば高齢者が若い後継者を育てることもできるようになるので、いずれの地域もいきいきとする。本研究では森の木ファームと高梁市のシイタケに含まれるレンチナンを免疫法で定量し、その含量を生産者に伝え、販促戦略を議論する。また、レンチナンの機能性について講演を行い、その意義を知っていただく。
このようにして、他地域に先駆けて南あわじ産と高梁産のシイタケを特徴づけることで販促し、南あわじと高梁の農生産を向上させることで・Aこの2つの地域をいきいきとさせることを本教育研究の目的とする。

取組代表者 地域創成農学部 地域創成農学科・助教 金沢 功
獣害情報DBの構築に向けた基礎情報収集方法の確立獣害情報DBの構築に向けた基礎情報収集方法の確立
 南あわじ市では、獣害が農業の大きな支障となっており、農業のみならず生態系破壊にも結びついている。しかし、獣害発生は増加しているにもかかわらず、被害情報の収集方法は確立されておらず被害管理に必要なデータが蓄積されていない。本研究では、被害管理に資する基礎情報のデータベース構築を目指し、必要な基礎情報について、現場で継続的に収集可能な方法を確立することを目的とする。
研究成果は、本学科4年次の専門科目「総合防除管理学」の講義内容に反映させ、地域を理解するための地域志向科目として位置づけることで、教育に還元する。

取組代表者 地域創成農学部地域創成農学科・准教授 森野真理
高梁市及び南あわじ市における産地主導による農産物輸出の課題と方策に関する研究高梁市及び南あわじ市における産地主導による農産物輸出の課題と方策に関する研究
 本研究は、近年、社会的関心を集めている「日本産農産物の海外輸出」について、産地や個人生産者に対する影響や寄与を考察し、更に、地域農業・経済の成長を促すような海外輸出のあり方や方策を検討することを目的とする。
具体的には、①海外輸出志向を持つ農業生産者・産地及び海外現地市場の輸入業者(バイヤー)からの聞き取り調査を通じて、海外市場への販路開拓に伴う問題点や付随するリスクの構造を明らかにし、その上で、②関係者及び本研究者を交えた意見交換会を開催することにより、地域経済への輸出メリットが還元されるような海外輸出のあり方を模索する。
本研究代表者は、昨年度に本研究費の助成を受け、高梁市産ブドウ及びその生産者を対象に同様の研究・取組みを実施しており、高梁市での取組みを実施する中で構築してきた従来の取組みのフレームワークを南あわじ市の事例に援用する予定である。

取組代表者 地域創成農学部地域創成農学科・准教授 濱島敦博
南あわじ市の「市の花」水仙の花酵母を利用した地域ブランド食品の開発研究南あわじ市の「市の花」水仙の花酵母を利用した地域ブランド食品の開発研究
 南あわじ市においては、地域の文化や産業振興の一環として、本学地域創成農学部に対する期待が極めて大きく、開学後も「南あわじ市大学・A携推進協議会」を通じて本学部の地域連携事業に対する要望や支援方法についての情報交換の場を持っている。本教育研究課題は、同連携推進協議会での要望の一つに沿うものであり、南あわじ市の地域ブランド食品づくりを目的とするものである。
水仙は南あわじ市の「市の花」であり、「黒岩水仙郷」は市が管理する日本3大水仙郷の一つで多くの観光客も訪れている。「黒岩水仙郷」の水仙の花酵母を用いたブランド食品を南あわじ市市政10周年に間に合わせて出せればとの要望がある。
「地域のケーブルテレビを活用した大学教育・研究情報の発信」「地域のケーブルテレビを活用した大学教育・研究情報の発信」
 大学における教育・研究を地域に発信するための媒体として、「地域のケーブルテレビ」は有効である。そのメデイアの協力を得ながら、大学が実施する各種イベント(セミナー、主催する学会、研究発表会、さらには大学祭などの大学行事)を発信することは、大学の知を地域に即時に的確に伝えることは、COCプログラムの広報手段として適切と思われる。
さらにその活動に学生が主体的に、イベントの計画、取材、発信に関わることを計画し教育プログラムの一環として位置づける可能性を検討する。

取組代表者 地域創成農学部地域創成農学科・教授 地域連携センター長 内藤 正明
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